2019/04/24 21:40


 
各家の家紋と同じようにそれぞれの神社にも
紋章が用いられており、
これを神紋(しんもん)と称しています。
 
 
我が国における紋章の起源は、
平安時代に公家社会において
用いられた紋章に遡ることができます。

初めは各自の好みの文様を、
それぞれの衣装や調度に
装飾的な意味で用いていましたが、
だんだんと父祖伝来の文様が
慣用されるようになり、
一族の文様として定着していきました。
 
 
その後、武家社会においては、
戦地において敵と味方を瞬時に判別する
必要から、旗指物などに一族の文様を
描くようになりました。

一族の団結の象徴でもあるこの文様は、
目印としての実際的な意味合いが強くなり、
次第に簡略化されて、現在のような
家紋の形となっていったのです。
 
 
神社における神紋についてですが、
この成り立ちに関して幾つかに
分けることができます。
 
 
まず一つは、神社に縁深い神木などの植物、
祭器具などを表したものが神紋として
用いられる場合で、大神(おおみわ)神社の
神杉などを例としてあげられます。

二つ目は伝説や伝承などに基づくもので、
菅原道真公を祀る天満宮の梅紋は、
道真公が生前に梅の花をこよなく愛でた
という伝承により、神紋として
用いられたものといわれています。
 
三つ目は家紋から転用されたもので、
これは歴史上の人物を
お祀りする神社に見られるものです。

徳川家康公をお祀りする東照宮では、
徳川家の家紋である葵紋が、
神紋となっています。

このほかにも、神紋には神仏習合に
関わるものや、天文気象に関するものなど、
さまざまな文様が用いられており、
人々の篤い信仰と歴史的背景を現す象徴と
いうことができます。

神社本庁「神道いろは」より